阿蘇山
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![](20200522gazou/img3670_2_2.gif) | 標高:1592メートル 所在地:熊本県阿蘇市 登山適期:5月上旬〜10月下旬 日帰り 最寄駅:宮地駅 登山レベル:5 |
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九州を代表する世界最大級のカルデラ内にある活火山。
実は阿蘇山と山頂は存在せず、阿蘇五岳(あそごがく)と言われる5つの山の総称を阿蘇山と呼んでいる。
標高順に高岳(1,592m)、中岳(1,506m)、根子岳(1,433m)、烏帽子岳(1,337m)、杵島岳(1,321m)となっているが、今回我々はミヤマキリシマの名所である仙酔峡から火口経由で中岳、高岳に登ってきました。
どうせ登るならてっぺんを目指したいという安直な理由と、活火山の火口をこの目で見てみたいというのもあった。
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ちなみに上の地図の中岳のあたりに2本の線が書いてあるが、地図記号上は「索道」つまりロープウェイを指しているが、実際にはこの2か所のロープウェイは存在しない。
まず西側の阿蘇山ロープウェイは2016年の震災以降長らく休止中だったが、2019年には正式に廃止が決定している。
そして東側の仙酔峡ロープウェイは1964年から2011年まで動いていた歴史あるロープウェイだが、西側の阿蘇山ロープウェイの年間乗客数57万人に対して仙酔峡ロープウェイは8万人強(2006年度)と営業的に苦戦を強いられていたばかりか、2011/5/4に発生したモーター故障に多額の復旧費用を要することなどから再開を断念した悲しい過去がある。
そんな悲しい過去を知ると右の写真の山頂駅の廃墟がまた違った印象になってくる。
私が1時間かけて苦労して登ってきた道のりを、仙酔峡ロープウェイはたったの9分で連れて行ってくれたようである。
もし動いていたら乗っていただろう。
仙酔峡ロープウェイ山頂駅に着くと火口の淵が目に飛び込んでくる。
それを見上げながら簡易舗装された道を進んでいくことになるが、途中噴石避難用のシェルターが散見された。
実際にこれにお世話になる場面を想定するとかなり怖い。
そしてこれが私の見たかった中岳火口の御姿である。
非常に荒涼とした風景はまるで月面のようだと比喩されることがあるようだが、私もそんな印象を受けた。
実際、火口付近ではあらゆる生物の痕跡がなく、かすかに硫黄の匂いを感じる場面もあった。
一つ残念だったのは火口の水面が見られなかったこと。
本当であればエメラルドブルーのきれいな水面があるはずだが、それはどうやら西側火口展望台からしか見られない模様。
まあ、あちらはいつでも車ですぐ来れるので、今はすばらしい光景に抱かれながら中岳を目指すことに専念しよう。
火口を後にした我々は一路、中岳山頂を目指す。
さすがに降灰が多いのか、登山道も細かい灰の粒子が堆積しており、前を歩く同僚の巻き起こす火山灰の乱舞にはマイッた。
南東側を遠望したものが左の写真ですが、幾筋ものガリー(雨裂)が見える他、溶岩の流路だろうか?ハッキリとした川のような線形が見て取れる。
右の写真は先ほど登ってきた仙酔峡ロープウェイ山頂駅から火口までを登る登山道・途中にいくつかシェルターがあるのがお分かりいただけると思う。
地形図では火口から1時間ほどと書いてあったが、それよりも少し早いペースで中岳山頂に到着。
科学的根拠は無いが、火口到達依頼、絶景を全身に浴びた何らかの効果なのか、なぜか疲労をあまり感じなくなってきていた。なぜだろうか?
視覚から得られる絶景という満足と達成感が脳に伝わり、疲労を低減させる脳の指令が出ているのかもしれない。
そんなことを考えながら次なる目的地、高岳を目指します。
中岳と高岳の標高差は100メートルもないため、若干の登りがあるもののかなり平坦な道が続く。
上の2枚の写真を見て分かるように、かなりの高度感があり、どこからともなく「天空回廊」という言葉が出てきた。
この日の登山のハイライトはこのあたりだったかと思う。
ここが阿蘇の最高峰、高岳であり標高は1592メートル。本当に眺望がすばらしい。
阿蘇の山では基本的には3月に野焼きをするため、木が生えることがない。
本来森林限界は2500m付近かと思うが、この地ではそう言った理由から標高が低くても木々が存在しないため、眺望の良さに一役買っていると思う。
また、活火山なので絶えず有毒なガスが蔓延していると思うので、動物の植物も生育しにくい環境にあるかと思う。
この山頂で昼食をとり、十分に休憩した。万全の体制を整えて後は仙酔尾根を下って駐車場に向かうだけ。
たったそれだけのことだが、このあとかなりキツイ思いをすることになる。
下山ルートからはほぼ常時ゴールである駐車場が見えているという珍しい状況。
私の場合は登山において下りはほとんど疲れることもなく、スイスイ進むことができる。逆に登りは体重があるため一般人よりも時間がかかる。
・・・の はずだったが、ちょっと状況が違っていた。
中央の写真を見てもらえと分かる通り、ここの地質は少しイレギュラーだ。
基本溶岩地形ではあるが、草付きもあるうえに風化していてツルツルと滑る岩も多い。
また、結構な急斜面で鎖場があるほどではないが、浮石や落石に注意を払う行軍を強いられた。
土の部分はほぼ皆無で、人の通る雨裂部分は細かい砂利のようになっている部分もあって滑りやすい。
写真中央やや左に駐車場が見えるものの、左右は切り立った崖(いわゆるナイフリッジ)
転倒しやすい路盤。そして急傾斜。
細かな拳大サイズの石が多く、ずっと足ツボマッサージを受けているような鈍痛が終わらない。
同行者は下山ルート序盤において転倒し、手から出血してしまったため、水とタオルと絆創膏でファーストエイドはできたものの、恐怖心が芽生えてしまい、しばらくの間下山ペースが落ちてしまっていた。
それでも何とか頑張って駐車場まであと少しというところまで来ると、今度は雑草の繁茂した極端に深い雨裂の道へと豹変。
そして最後の最後には道を逸れてしまい沢に出てしまった。
強引に岩場を下って駐車場横の橋を見つけた時、もう一人の同行者がいて一安心。
この日一日の疲れを取り払うかのように、ここの水で顔を洗い、うがいをし、頭を濡らししばし休憩。
![](20200522gazou/img_52841.jpg) | ![](20200522gazou/spacer_6.png) | 以上、2020/10/4(日)の阿蘇山登山レポートでした。
実はこの前日、2016/4の熊本地震で被災した道路が復旧したこともあって阿蘇エリアは久々に人が多かったのではないかと思う。
阿蘇には登山ばかりではなく、名水の水源が点在していたり、グルメな方には高菜やだご汁、あか牛のステーキなどが有名であり、魅力は一言では語り切れない(温泉も・・・)
神奈川県人の私が言うのもなんだが、阿蘇は万人に開かれた、あらゆるアクティビティが揃っているエリアだと思う。 遊んで食事して温泉に入って帰るというパッケージ化されたレジャー要素が大変魅力的である。 |
熊本に来て3年半が経つが、他県には真似できない「遊びの実習フィールド」を是非皆さまも体験していただきたいと思う今日この頃である。