Travel Maker

第七章「全羅北道」 チョルラプクド




マンモスターミナルの光州を去る。目的地はビビンパブ発祥の地、全州(チョンジュ)
確実に帰りの飛行機が出発する仁川に向かっていた。
ここまでくると旅も3分の2を過ぎた感じだ。ちょっとマンネリ化して飽きたな、と思い始めたのもこの頃。あ〜、華が欲しい(^^ゞ

乗車率の高いバスに乗った。
そのためか発券場で教えられたとおり指定された席に座る事になっていた。
ずっと寝ていたが、隣でGAJIROがなにやら現地の女の子に声をかけていた。
なんだか若い(若すぎる)アガッシ(女の子)がいたのだ。この春から高校に進学するとの事でした。
何となく話しかけてみると、反応というかテンションの高さというのか、その辺が韓国人そのものだった。

旅のいきさつ等を語り始めると興味深々だった。
何でも光州に住んではいるが、通う高校が全州にあるから、制服を受け取りに行くというのだ。
「キョボク、キョボク」そう何度も言っていたが、何のことやら分からなかった。
単語帳を出し、探させる。「キョボク(校服)」とあった。

なるほどッ!!
どうやら韓国では制服とは呼ばず校服と呼ぶらしい。こうしてまた1つ単語を覚えた。

旅の経緯を話して、全州に何をしに行くか応えると・・・・というか、
「美味しくて安いビビンパブの店を知らない?」
と聞くと、
「じゃあ一緒に行きましょう!!!」
となってしまったのだ。ただ、制服屋に付き合わないといけないけどね。

全州バスターミナルに到着した。



早速、タクシーを拾うのだが、この辺の行動力は日本人を軽く凌駕しているだろう。
本当スゲェ〜、よく動く。
3M(無関心・無気力・あとなんだっけ?)なんて言葉は当てはまらず、元気いっぱいだ。

しかも、外国人(我々)は、ハングルを話すとなると、客人待遇でタクシー代も払ってくれた。
ひとまわりも年下に払わせたと思われたくない。
勝手に払ったのだ・・・、でもカッコ悪いな、と思う。ヤヴァイぞ俺ら!

制服屋に入る。どう考えても場違いだろう。
一応、男物の制服もあるから、大丈夫だけど、女限定だったらヤヴァ過ぎる。日本なら変人扱いだろう。
椅子に腰を下ろし、着せ替えのように変化する女子中学生の様を見ていた。
知っているありったけの韓国語で褒め殺してみてたっけ。ちょっとしたひとときだった。

再びタクシーを拾い、今度は金を出す!といっても言う事聞かない。

済州島で行動を共にしたドンウの時もそうだった。親切すぎる。ホームレスになったら韓国に行けば楽できそう(^^ゞ

全州で安くてウマイ店を選択したようだ。早速店内に入ってみた。

ビビンパブだけを注文したのに・・・、前菜が強烈な量で出てきた。
「こッ、こんなに頼んでないけど、勝手に出てくるぞッ!?」
しかしこれは全部タダ。このサービス精神はキテレツ以外の何者でもない。韓国の食堂はみんなこんな感じで勝手に出てくる。
はぁ、食いきれん。ちょっと腹が満たされたところで、やっとお目当てのビビンパブが出てきた。
この照り具合、いかがなもんですか?本場であります!それはそれは美味しくいただきました。
ちなみにここでの勘定は各自って感じ。。。オゴルって言ったのにッ!!!なんだか先手を取られる。

腹も満たされたところで、今夜の宿探しをする事にした。

すると宿探しも手伝ってくれる事に。しかも、値段交渉まで・・・。
何でこんなに親切なんだろう。バスでたまたま声かけただけなのに、ここまでしてくれる日本人って果たしているのかな?
そう考えると有り得なさそう。
知らない人には着いて行くな!
他人の事より自分のこと!
そんな精神が先行しているような気がしてならない。

繁華街までタクシー。そんな馬鹿な・・・、何でそんなに金持ってるんだ!?
韓国人のパパ、ママはお金持ちが多いのか?一体、何故なんだ・・・。

繁華街で宿探しする事10分くらい。街並みを歩きながらだけど、中規模な感じ。
江稜よりはデカク、慶州よりかはチイサク、そんなところかな。

1軒目の宿を探して、女将と交渉。値段も手ごろだったので一発決裁っ!!!
部屋も決まったところで、お世話になったアガッシたちとお別れへ。
(書いてて思う。本当にありがとう。もっと情が持てるようになりたいよ、良心が痛む。)

後から女将に聞いたのだが、
「ここはツアー客が泊まるホテルだからボッタリしないよ」
「信用無くすと、それこそ商売あがったりだよ」
そんな事を言ってた。でもこれは私は聞き取れずGAJIROに通訳してもらった。


全州の人はとても良い、人間って美しい!なんだかそんなことを考えさせられる一日だった。 しかし何も出来ない今の私は一体どんな目で写ったんだろう?
「情」というものに最近色々と悩ませられる。
私にはかつて情というものがあったが、今はそれが欠如している状況に陥ってしまっている。
何だか物事を考えるときに損得や効率的な方を優先してしまっている。


そんな自分を見つめ直させてくれるのが韓国という国なのだ。

また渡韓する事があったら、必ず世話になった人達には再会してみたい

→後日、お世話になった韓国人の友人が何人か日本に来た。
それは観光だったり留学だったりと様々ですが、私はできる限りの礼として日本の観光スポットなどを案内したり、日本の文化を教えたりした。その際に彼らから日本のことをよく聞かれるわけだが、驚くほど私は自分の国のことを知らない。
日本人でありながら日本のことをよく知らない。これは愛国心の強い韓国人から見たら滑稽に思うことだろう。
この頃からか、これをきっかけに私は日本人であることを強く意識するようになった。
日本の隅々まで見て回ってもっといろんなことを教えられるようになりたいという思いが高じて旅人となった。
その活動の一部が
都道府県別レポートにも繋がっている。


次の目的地であるプヨって場所は、百済(くだら)が栄えた地なのだが、今では寂れた地方街。
バスの本数もめっぽう少なくなっていた。
ターミナル内にあるコンビニで朝食を買い、食いながら出発時間を待つ。
よく覚えているのが、この時に酔っ払いが居て、みんなに迷惑をかけてたところだ。
この辺は日韓共通で、誰も救いの手は差し伸べない。情の国韓国でも、善悪の区別はあるんだな。。。と悟った。

やがて出発時間になった。
次は忠清南道になります。


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